NPO法人の年間スケジュールは、「決算月から数える期限」と「暦で日付が決まっている期限」の2つに分けると1枚にまとまります。事業報告書等や法人税の申告は決算月に合わせて動きますが、源泉所得税・法定調書・労働保険・社会保険・法人住民税の均等割の多くは、決算月にかかわらず毎年同じ日です。この記事では3月末決算の法人を例に12か月の暦を作り、ほかの決算月への当てはめ方と、改選の年だけ増える手続をまとめます。

期限は2種類ある

事務局の期限が覚えにくいのは、数え方の違う期限が混ざっているからです。

種類主な期限根拠
決算月から数える事業報告書等の作成・備置き(事業年度初めの3か月以内)NPO法第28条
決算月から数える事業報告書等の所轄庁への提出(毎事業年度1回)NPO法第29条
決算月から数える法人税の確定申告(収益事業がある場合。事業年度終了の日の翌日から2か月以内)法人税法第74条
決算月から数える損益計算書等の提出(収益事業がなく年間収入8,000万円超の場合。原則4か月以内)国税庁 手続案内 C1-65
暦で決まっている源泉所得税の納付(原則は支払った月の翌月10日まで)国税庁 No.2505
暦で決まっている給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(翌年1月31日)国税庁 手続案内 F1-1
暦で決まっている給与支払報告書の市町村への提出(1月31日まで)地方税法第317条の6
暦で決まっている労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)厚生労働省
暦で決まっている健康保険・厚生年金保険の算定基礎届(7月1日〜7月10日)日本年金機構
暦で決まっている収益事業を行わない法人の均等割の申告(4月30日まで)地方税法第53条・第321条の8

源泉所得税は、給与の支給人員が常時10人未満の事務所なら「納期の特例」を申請でき、1月〜6月分を7月10日、7月〜12月分を翌年1月20日にまとめて納めます(国税庁 No.2505)。特例を受けているかどうかで暦が変わるので、まず確かめてください。

均等割は、東京都主税局の案内では、収益事業を行わないNPO法人は決算期にかかわらず4月30日までに申告書と免除申請書を出せば都民税の均等割が免除されます。市町村民税の均等割の扱いは市町村ごとに異なるため、事務所のある市町村で確かめます。収益事業がある法人は申告の時期が変わります。

3月末決算の法人の12か月

事業年度が4月1日〜3月31日、給与を払う職員がいて、源泉所得税の納期の特例を受けている法人に当てはめると、次のようになります。総会の月と所轄庁への提出期限の細部は、定款と所轄庁の条例で確かめてください。

月やること
4月決算の締めと計算書類・財産目録の作成を始める。4月30日までに均等割の申告(収益事業を行わない場合)
5月監事の監査、総会資料の準備。収益事業があれば5月31日までに法人税の確定申告
6月総会(招集通知は5日前まで)。6月30日までに事業報告書等を作って事務所に備え置き、所轄庁へ提出する(東京都は事業年度初めの3か月以内の提出を求めている)。6月1日から労働保険の年度更新
7月7月10日までに年度更新・算定基礎届・源泉所得税(1月〜6月分)。該当すれば7月31日までに損益計算書等
8月〜11月暦の上の期限が少ない時期。上半期の振り返り、改選の前年なら候補者の相談を始める
12月年末調整(手順は国税庁の年末調整のページで、その年の案内を確かめる)
1月1月20日までに源泉所得税(7月〜12月分)。1月31日までに法定調書合計表(税務署)と給与支払報告書(市町村)
2月〜3月翌年度の事業計画・予算案の準備、総会の日程と会場の確保

毎月の期限もあります。職員を雇ったときの雇用保険の資格取得届は翌月10日まで(厚生労働省)、健康保険・厚生年金保険の資格取得届は5日以内(日本年金機構)です。これらは月ごとの暦ではなく、採用の手順に入れておきます。

事業報告書等の書類の中身と作る順番はNPO法人の事業報告書の記事、収益事業に当たるかの判断はNPO法人と法人税の記事で解説しています。

3月以外の決算月に当てはめる

決算月が変わると、決算月から数える期限だけが動きます。12月末決算の法人なら次のようになります。

期限3月末決算12月末決算
事業報告書等の作成・備置き(東京都は提出も)6月30日3月31日
法人税の確定申告(収益事業がある場合)5月31日2月末日
法定調書・給与支払報告書1月31日1月31日(変わらない)
労働保険の年度更新・算定基礎届7月10日7月10日(変わらない)
均等割(収益事業を行わない場合・東京都)4月30日4月30日(変わらない)

12月決算では、1月に源泉所得税(納期の特例の7月〜12月分)・法定調書・給与支払報告書の期限と決算の締めが重なり、3月に総会と事業報告書等の期限が来ます。この3か月は事務局の手が足りなくなりやすいので、決算の作業を誰が持つかを前年のうちに決めておくと崩れません。

改選の年だけ増える手続

役員の任期は2年以内で定款で定めます(NPO法第24条)。任期が2年なら、2年に1度の総会が改選の年です。改選の年は、次の手続を暦の別の行に書いておきます。

  • 就任承諾書の回収(総会の前後)
  • 所轄庁への役員の変更等の届出(遅滞なく。NPO法第23条)
  • 代表権を持つ理事の変更の登記(登記事項に変更が生じてから2週間以内。組合等登記令第3条)

見落としやすいのは、同じ理事が再任されたときです。新潟地方法務局の案内は、任期満了で同じ理事が再任した場合も登記が必要としています。東京都生活文化局も、再任の場合も所轄庁への届出が必要と案内しています。どの理事を登記するかは定款の代表権の書き方で変わるため、書類の作り方は法務局と所轄庁で確かめてください。手順はNPO法人の役員変更の届出の記事で解説しています。

自分の団体の暦を1枚にする手順

上の表は一般的な例です。自分の団体の暦は、次の順で作ると漏れが減ります。

  1. 定款を開き、事業年度・総会の時期・役員の任期と改選の方法を書き出す
  2. 給与を払う職員がいるか、源泉所得税の納期の特例を受けているか、社会保険と労働保険に加入しているかを確かめる
  3. 収益事業があるかを確かめる(法人税の申告と、均等割の申告の時期が変わる)
  4. 「期限の日」「やること」「担当」「前年に済ませた日」の4列で、12か月の表に落とす
  5. 期限の2〜4週間前に「準備を始める日」の行を足す(監事の監査や総会の招集のように、ほかの人の予定が要るもの)
  6. 改選の年の行を、色や印で分けて書く

「前年に済ませた日」の列があると、翌年の担当者が実際の段取りをつかめます。暦は事務局だけで持たず、理事会で年度の初めに共有しておくと、総会の日程や監査の日程が早く決まります。

所轄庁への事業報告書等の提出期限と方法は、所轄庁ごとに案内があります。提出が郵送や窓口だけの所轄庁もあるため、郵送にかかる日数も暦に入れておきます。

暦を作るときの落とし穴

  • 期限を1種類で覚える:決算月で動く期限と動かない期限を同じ列に並べると、決算月が変わったときに崩れます
  • 納期の特例を受けているか知らない:特例がなければ源泉所得税は毎月10日です。前任者が申請したかどうかは税務署の控えで確かめます
  • 再任を「変更なし」と扱う:再任でも登記と届出が要ります
  • 所轄庁の期限を法律の期限と同じと思い込む:提出の細部は所轄庁の条例と案内で決まります

法律で期限が決まっている業務の一覧と、抱え込みを減らす手順はNPO事務局の業務の整理にまとめています。事務局の運営の記事は事務局の運営と業務改善の一覧から探せます。

まとめ

  • 期限は「決算月から数える期限」と「暦で決まっている期限」に分けて1枚にする
  • 源泉所得税は納期の特例の有無を確かめる(特例なら7月10日と1月20日)
  • 1月31日は法定調書合計表と給与支払報告書、7月10日は年度更新と算定基礎届
  • 収益事業を行わない法人の均等割は4月30日まで(東京都の案内。市町村は各市町村で確かめる)
  • 改選の年は、再任でも所轄庁への届出と2週間以内の登記が要る

参考資料