NPO 法人は、法人税法上は公益法人等として扱われ(特定非営利活動促進法〈以下「NPO 法」〉第70条)、法人税がかかるのは収益事業から生じた所得だけです。収益事業とは、政令で定める34の事業を、継続して、事業場を設けて行うものをいいます(法人税法第2条第13号、法人税法施行令第5条第1項)。

判断の要点は次の3つです。

  1. 事業の中身で判断する:特定非営利活動として行う本来の事業でも、34業種に当たれば収益事業です(法人税基本通達15-1-1)
  2. NPO 法の「その他の事業」とは別の区分:NPO 法上の区分と税法上の区分は、それぞれ確かめる
  3. 始めたら2か月以内に届け出る:収益事業を開始した日から2か月以内に「収益事業開始等届出書」を税務署長に出す(国税庁 手続案内 C1-6)

この記事では、法令と国税庁の法人税基本通達(以下「通達」)にもとづいて、収益事業に当たるかどうかの判断の手順と、当たった場合の届出・申告を整理します。

収益事業の3つの条件

法人税法第2条第13号は、収益事業を「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの」と定めています。次の3つをすべて満たすと収益事業です。

条件内容通達の説明
34業種のいずれかに当たる法人税法施行令第5条第1項の各号に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む)付随行為の例(15-1-6):出版業に関係する講演会の開催や出版物に載せる広告の引受け、技芸教授業に係る教材の販売、収益事業から生じた所得の預金等での運用など
継続して行われる事業年度の全期間を通じて行うもののほか、次のようなものも含む15-1-5:土地の造成・分譲や全集の出版のように事業の遂行に相当期間を要するもの、海水浴場の席貸しや縁日の物品販売のように相当期間継続し、または定期的・不定期に反復して行うもの
事業場を設けて行われる常設の店舗・事務所だけでなく、必要に応じて随時設ける場所や既存の施設を使うものも含む15-1-4:移動販売や移動演劇興行のように場所が転々とするものも該当する

また、通達15-1-2は、収益事業に当たる事業の業務を委託契約で他の者に行わせている場合も、その公益法人等が自ら収益事業を行っているものとして扱うとしています。

34の事業

法人税法施行令第5条第1項に掲げる事業は、次の34です(各号には、特定の法人が行う場合などの除外の規定が付いているものがあります)。

事業事業
1物品販売業18代理業
2不動産販売業19仲立業
3金銭貸付業20問屋業
4物品貸付業21鉱業
5不動産貸付業22土石採取業
6製造業(電気・ガスの供給業、熱供給業、物品の加工修理業を含む)23浴場業
7通信業(放送業を含む)24理容業
8運送業(運送取扱業を含む)25美容業
9倉庫業26興行業
10請負業(事務処理の委託を受ける業を含む)27遊技所業
11印刷業28遊覧所業
12出版業29医療保健業
13写真業30技芸の教授、学力の教授など
14席貸業31駐車場業
15旅館業32信用保証業
16料理店業その他の飲食店業33無体財産権の提供等
17周旋業34労働者派遣業

第30号の「技芸」には、洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む)、自動車操縦、小型船舶の操縦が列挙されています。講座や教室を開く場合は、教える内容がこの一覧に当たるかを確かめます。

NPO 法人が確かめておきたい規定

34業種のなかには、NPO 法人の活動と関係が深い規定がいくつかあります。

国や地方公共団体からの受託(請負業)

請負業には事務処理の委託を受ける業が含まれ、他の者の委託に基づいて行う調査、研究、情報の収集・提供などの事業は、国等からの委託に基づくものも含めて請負業に当たります(通達15-1-27)。

ただし、次の2つの取り扱いがあります。

規定内容
法人税法施行令第5条第1項第10号イ法令の規定に基づき国または地方公共団体の事務処理を委託された法人が行うその委託に係るもので、委託の対価が事務処理に必要な費用を超えないことが法令の規定により明らかなことその他の財務省令で定める要件に該当するものは、請負業から除かれる
通達15-1-28(実費弁償)事務処理の受託の性質を有する業務が、法令の規定、行政官庁の指導、規則・規約・契約に基づき実費弁償(委託者から受ける金額が業務に必要な費用の額を超えないこと)で行われ、そのことについてあらかじめ一定の期間(おおむね5年以内)を限って所轄税務署長の確認を受けたときは、その期間は収益事業としないものとする

自治体などから受託している事業がある場合は、契約の対価の決め方と、税務署長の確認を受けているかを確かめます。

会報の発行(出版業)

出版業からは、学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うものなどが除かれています(法人税法施行令第5条第1項第12号)。

会員への物品の頒布(物品販売業)

通達15-1-9の注3は、会員等に有償で物品を頒布している場合でも、その頒布が物品の用途や頒布価額などからみて、専ら会員等から会費を徴収する手段として行われていると認められるときは、物品販売業に当たらないとしています。

障害者等が従事する事業

公益法人等が行う34業種の事業のうち、その事業に従事する身体障害者、生活保護法の生活扶助を受ける者などが従事者の総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているものは、収益事業に含まれません(法人税法施行令第5条第2項第2号)。半数以上かどうかは、その事業年度に事業に従事した者の延人員で判定します(通達15-1-8)。

収益事業に当たった場合の手続

手続期限根拠
収益事業開始等届出書の提出収益事業を開始した日から2か月以内国税庁 手続案内 C1-6
収益事業とそれ以外の経理の区分常時法人税法施行令第6条
法人税の確定申告各事業年度終了の日の翌日から2か月以内法人税法第74条

収益事業がなく法人税の確定申告書を出さない法人でも、年間の収入金額の合計が8,000万円を超えるときは、原則として事業年度終了の日の翌日から4か月以内に、損益計算書または収支計算書を所轄税務署長に提出します(国税庁 手続案内 C1-65)。

認定NPO法人は、収益事業に属する資産のうちから収益事業以外の特定非営利活動に係る事業のために支出した金額を寄附金とみなす「みなし寄附金制度」を使えます(特例認定NPO法人には適用されません)。詳しくは「認定NPO法人の要件と申請」の税制の節で整理しています。

NPO 法の「その他の事業」との違い

NPO 法と法人税法は、事業の分け方が違います。

区分根拠分け方求められること
特定非営利活動に係る事業/その他の事業NPO 法第5条定款に書いた特定非営利活動に係る事業か、それ以外かその他の事業は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限りで行い、利益は特定非営利活動に係る事業に使う。会計は特別の会計として区分する
収益事業/収益事業以外法人税法第2条第13号、同施行令第5条34業種を継続して事業場を設けて行うかどうか収益事業の所得に法人税がかかる。経理を区分する(同施行令第6条)

たとえば、特定非営利活動に係る事業として行っている講座でも、第30号の技芸の教授に当たれば収益事業になりえます。逆に、NPO 法上の「その他の事業」でも、34業種に当たらなければ収益事業にはなりません。NPO 法の会計の区分は「NPO法人会計基準の基本」で解説しています。

判断のチェックリスト

  • 行っている事業、これから始める事業を1つずつ書き出した
  • それぞれが34業種のどれに当たりうるかを確かめた
  • 継続性(反復して行うかどうか)と事業場(随時の場所や既存の施設を使う場合を含む)を確かめた
  • 業務を外部に委託している収益事業がないか確かめた
  • 自治体などからの受託事業について、対価の決め方と実費弁償の確認の有無を確かめた
  • 会報の発行、会員への物品の頒布、障害者等が従事する事業の除外の規定を確かめた
  • 収益事業を始めた日から2か月以内に収益事業開始等届出書を出した
  • 収益事業とそれ以外の経理を区分している
  • 事業年度終了の翌日から2か月以内に確定申告をしている
  • 収益事業がない場合、年間収入8,000万円超なら損益計算書等を4か月以内に提出している
  • 判断に迷う事業を、所轄の税務署に相談した

まとめ

NPO 法人の法人税は、収益事業から生じた所得だけにかかります。収益事業に当たるかどうかは、事業が特定非営利活動かどうかではなく、34業種に当たるか、継続して、事業場を設けて行うかで決まります。受託事業の実費弁償、会報、会員への頒布、障害者等が従事する事業などの規定を確かめたうえで、当たる事業は開始から2か月以内に届け出て、経理を区分し、申告します。新しい事業を始める前に一度この手順で確かめておくと、後から申告漏れに気づく事態を防げます。設立直後の届出の全体は「NPO法人の設立の流れ」、年間の申告の時期は「NPO事務局の業務の整理」もあわせて参照してください。

参考資料