NPO 法人は、役員の氏名や住所に変更があったら、遅滞なく、変更後の役員名簿を添えて所轄庁に届け出ます(特定非営利活動促進法〈以下「NPO 法」〉第23条第1項)。新しく就任した役員がいるときは、その人の就任承諾及び誓約書の謄本と住所を証する書面も提出します(同条第2項)。さらに、変わったのが代表権を持つ理事なら、2週間以内に法務局で変更登記が必要です(組合等登記令第3条)。

「所轄庁への届出」と「法務局での登記」は別の手続です。どちらか一方だけで済ませてしまわないよう、両方を並べて段取りします。この記事では、内閣府の「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」(令和3年6月)と法律の条文にもとづいて、届出が必要なケース、添える書類、改選の段取りを整理します。

届出が必要な8つのケース

内閣府の手引きは、NPO 法第23条の「役員の氏名又は住所若しくは居所に変更があったとき」に当たるものとして、次の8つを挙げています。

ケース所轄庁への届出新任の書類の添付総会の議決など定款の手続
新任必要必要必要
再任必要任期満了と同時の再任なら不要必要
任期満了(退任)必要不要
死亡必要不要
辞任必要不要
解任必要必要
住所または居所の異動必要不要
改姓または改名必要不要

「総会の議決など定款の手続」の列は、手引きの Q&A で、再任・解任・新任は総会における議決など定款に定められた手続に従って決定する必要があり、それ以外の変更は総会での決議などは必要ない、と説明されている部分です。

住所の異動や改姓も届出の対象です。役員個人の引っ越しは法人の事務局が気づきにくいため、役員に「住所や氏名が変わったら事務局に連絡する」ことを就任時に伝えておきます。

提出する書類

書類いつ必要か根拠
役員の変更等届出書すべてのケースNPO 法第23条第1項
変更後の役員名簿すべてのケース同上
就任承諾及び誓約書の謄本新任(任期満了と同時の再任を除く)第23条第2項、第10条第1項第2号ロ
役員の住所または居所を証する書面同上第23条第2項、第10条第1項第2号ハ

就任承諾及び誓約書は、その役員が欠格事由(第20条)に当たらないこと、親族の制限(第21条)に違反しないことを誓約し、就任を承諾する書面です。住所を証する書面として何を認めるかは、所轄庁の条例で定められています。

内閣府の手引きの記載例では、届出書の「変更事項」の欄に新任・再任・任期満了・死亡・辞任・解任・住所(又は居所)の異動・改姓又は改名の別を書き、補欠や増員で就任した場合はその旨を付記します。任期満了と同時に再任した場合は「再任」とだけ書けば足ります。変更後の役員名簿は2部添付とされていますが、部数や様式は所轄庁ごとに違うことがあるため、所轄庁の手引きで確かめてください。

登記が必要になるのはどんなときか

組合等登記令は、NPO 法人の登記事項として「代表権を有する者の氏名、住所及び資格」を定め(第2条第2項第4号)、登記事項に変更が生じたときは2週間以内に主たる事務所の所在地で変更の登記をすることを求めています(第3条第1項)。

誰が「代表権を有する者」かは、定款によって変わります。

定款の定め登記される理事根拠
代表権の制限の定めがない理事全員(理事はすべて法人を代表する)NPO 法第16条
「理事長は、この法人を代表し…」などの定めがある代表権を持つ理事(理事長など)だけ。代表権の範囲または制限の定めも登記する内閣府の手引き、組合等登記令別表

内閣府の手引きは、定款に「理事長は、この法人を代表し、その業務を総理する。」などの規定がある場合は、理事長だけが法人を代表し、それ以外の理事の代表権は制限されたものと解され、その理事は登記する必要がない、と説明しています。監事は登記事項ではありません。監事の変更は所轄庁への届出だけです。

自団体の定款の代表権の規定と、現在の登記事項証明書を並べて、誰が登記されているかを確かめておくと、変更のたびに迷いません。

改選の年の段取り

役員の任期は、2年以内で定款で定める期間です(NPO 法第24条第1項)。改選の年は、次の順で準備します。

手順1 任期の終わりの日を確かめる

定款の任期の定めと、前回の選任日から、全役員の任期の終わりの日を一覧にします。定款で役員を総会で選任することにしている法人は、定款に定めがあれば、後任が選任されていない場合に限り、任期の末日後最初の総会が終わるまで任期を伸ばせます(第24条第2項)。この規定を使うかどうかも、定款で確かめます。

手順2 候補者の要件を確かめる

確かめること内容根拠
役員の数理事3人以上、監事1人以上第15条
報酬を受ける役員の数役員総数の3分の1以下第2条第2項第1号
監事の兼職監事は理事や職員を兼ねられない第19条
欠格事由破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑の執行を終えてから2年を経過しない者、暴力団の構成員等など第20条
親族の制限各役員について配偶者・3親等以内の親族が1人を超えて含まれない。役員本人とその配偶者・3親等以内の親族が役員総数の3分の1を超えない第21条

役員の人数が減るときは、定数の3分の1を超える欠員が出ていないかも確かめます。理事または監事のうち定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なく補充しなければなりません(第22条)。

手順3 総会などで選任する

定款の定めに従って総会や理事会を開き、選任します。総会で選任する場合、総会では原則としてあらかじめ通知した事項についてだけ決議できるため(第14条の6)、招集通知(総会の日の少なくとも5日前。第14条の4)に役員の選任を議題として示しておきます。

手順4 書類をそろえ、登記と届出をする

新任の役員から就任承諾及び誓約書と住所を証する書面を受け取り、変更後の役員名簿を作ります。代表権を持つ理事に変更があれば2週間以内に登記し、所轄庁へは遅滞なく届け出ます。

手順5 事務所に備え置く書類を差し替える

NPO 法人は、役員名簿を事務所に備え置き、社員などから請求があれば閲覧させる必要があります(第28条第2項・第3項)。届出と同時に、事務所に置いている役員名簿も最新のものに差し替えます。前事業年度中に役員であった人全員を載せる「年間役員名簿」は、翌年度の事業報告書等の一部になります。事業報告書等の全体は「NPO法人の事業報告書」で解説しています。

届出や登記を怠ったとき

NPO 法第80条は、登記することを怠ったとき(第1号)や、第23条第1項の届出をしなかったとき(第3号)などについて、法人の理事・監事などを20万円以下の過料に処すると定めています。

期限内に手続できなかったことに気づいたら、できるだけ早く登記と届出を行い、所轄庁に相談してください。

役員が欠けて業務が止まりそうなとき

理事が欠けて、業務が遅れることで損害が生じるおそれがあるときは、所轄庁は、利害関係人の請求により、または職権で、仮理事を選任しなければなりません(第17条の3)。ただし内閣府の手引きの Q&A では、任期が終わって後任が選任されていない場合、急迫の事情があるときなどは前任者が必要な職務を行わなければならないため、仮理事の選任は必ずしも必要ではない、と説明されています。まずは定款に従って後任を早く選任することが基本です。

役員変更のチェックリスト

  • 変更が8つのケースのどれに当たるかを整理した
  • 再任・解任・新任について、定款に定める手続(総会の議決など)を経た
  • 新任の役員から就任承諾及び誓約書と住所を証する書面を受け取った(任期満了と同時の再任は不要)
  • 役員の数、報酬を受ける役員の割合、監事の兼職、欠格事由、親族の制限を確かめた
  • 変更後の役員名簿を作った
  • 代表権を持つ理事の変更があれば、2週間以内に変更登記をした
  • 所轄庁に役員の変更等届出書を提出した
  • 事務所に備え置く役員名簿を差し替えた
  • 役員に、住所や氏名が変わったら事務局に連絡するよう伝えた
  • 次の改選の時期を年間の予定に書き込んだ

まとめ

役員変更は、所轄庁への届出(遅滞なく)と、代表権を持つ理事の変更登記(2週間以内)の2本立てです。新任・再任・任期満了・辞任だけでなく、住所の異動や改姓も届出の対象になります。改選の年は、任期の終わりの日、候補者の要件、総会の議題、書類の回収、登記と届出の順で段取りしておくと抜けがありません。年間の業務の組み立て方は「NPO事務局の業務の整理」、設立時の役員の要件は「NPO法人の設立の流れ」もあわせて参照してください。

参考資料