ボランティアの募集は、募集文を書く前に「受け入れの設計」を終わらせることが出発点です。お願いする役割を1つずつ切り出し、日時・所要時間・条件・窓口を決めてから募集する。応募が来たら説明と記録をして受け入れ、活動後に振り返りと感謝を伝える。この順番を守ると、少ない応募でも続けて参加してもらえる確率が上がります。

ボランティアが集まりにくいことは、統計にも表れています。総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」では、10歳以上で過去1年間にボランティア活動をした人の割合(行動者率)は 17.8% で、5年前(2016年)より8.2ポイント下がりました。

NPO 法人の側の状況は、内閣府の「2023年度(令和5年度)特定非営利活動法人に関する実態調査」にあります。

事業活動に携わるボランティア(延べ人数)認証法人認定・特例認定法人
0人32.2%14.9%
100人以上24.8%48.2%
何らかの還元(交通費・物品・謝礼など)をしている52.5%60.8%

※延べ人数は参加者数×活動日数。現場で活動するボランティアで、管理・運営・総務などに係るものは除きます。

認証法人の約3割は事業活動にボランティアがいない一方、半数近くの認定・特例認定法人は延べ100人以上を受け入れています。受け入れの仕組みがあるかどうかで、差がはっきり出ている分野です。

手順1 役割を切り出す

「何でも手伝ってくれる人」を募集しても、応募する側は自分に何ができるのか判断できません。まず、団体の活動をボランティアにお願いできる単位に分けます。

項目書くこと
役割名一言で分かる名前イベント当日の受付
内容具体的に何をするか来場者の名前の確認、資料の配布
日時と所要時間1回あたりの時間と頻度月1回、土曜の午前3時間
場所集合場所、オンラインの可否団体の事務所
必要な条件年齢、資格、経験、持ち物特になし
団体側の窓口当日の担当者と連絡方法ボランティア担当
費用の扱い交通費など実費の支給の有無交通費の実費を支給

役割は「短時間・単発」から「定期・継続」まで幅を持たせると、参加の入口が増えます。事務作業をボランティアに渡す場合は、「NPO事務局の業務の整理」の定型業務の手順書をそのまま活用できます。

手順2 募集文を作る

募集文には、手順1で決めた項目をそのまま載せます。応募する側が知りたいのは、次の順番の情報です。

  1. 何のための活動か(団体の目的と、その役割が何につながるか)
  2. 何をするのか(内容をできるだけ具体的に)
  3. いつ、どこで、どれくらいの時間か
  4. 誰でも参加できるか(条件、未経験でよいか)
  5. 費用はかかるか、支給はあるか(交通費、保険、持ち物)
  6. どうやって申し込むか(連絡先、締切、説明会の有無)
  7. 申し込んだ後に何が起きるか(面談や説明の流れ)

「6」と「7」が抜けている募集文は、関心を持った人が最後の一歩で止まる原因になります。

手順3 募集の経路を選ぶ

経路向いている役割押さえること
自団体のホームページすべて。ほかの経路からの案内先になる募集ページを常設し、更新日を書く
SNS単発・イベント型の役割募集ページへのリンクを付ける
会員・既存のボランティアからの紹介定期・継続の役割紹介しやすいよう、短い案内文を用意する
地域の社会福祉協議会福祉分野の活動市町村社会福祉協議会は、社会福祉法第109条で「社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助」を行う団体とされている

内閣府の同じ調査では、ホームページやブログで活動を発信している法人は認証法人で58.5%、SNS で発信している法人は33.7%でした(認定・特例認定法人では92.7%と63.3%)。募集の情報は、まず自団体のホームページに置き、ほかの経路からそこへ案内する形にすると、情報が古いまま残る事故を防げます。ホームページに載せる情報の全体は「NPOのホームページに載せるべき情報」で整理しています。

手順4 説明して受け入れる

応募があったら、活動の前に団体と役割の説明をします。説明の場で確かめる項目は次のとおりです。

説明すること理由
団体の目的と、その役割の位置づけ何のためにやるのかが分かると続きやすい
活動の内容、日時、場所、当日の窓口当日の迷いを減らす
安全上の注意と、けがや事故のときの連絡の流れ万一のときの対応を先に共有する
活動中の事故に備える保険の有無と内容本人が自分で判断できるようにする
活動で知った個人情報を外に出さないこと利用者や会員の情報を守る
費用の扱い(実費の支給など)後の行き違いを防ぐ
活動をやめたいときの伝え方辞めにくさが参加のハードルにならないようにする

連絡先を受け取るときの個人情報の扱い

申込書やフォームで、氏名・連絡先などを本人から直接書面(電磁的記録を含む)で受け取る場合、団体はあらかじめ本人に利用目的を明示する必要があります(個人情報保護法第21条第2項)。申込フォームに「連絡と活動の案内に使います」のように利用目的を書いておきます。個人情報保護委員会の Q&A(Q1-54)は、NPO 法人などの非営利団体も、個人情報データベース等を事業に使っていれば個人情報取扱事業者に当たるとしています。受け取った名簿の管理は、事務局の手順書に入れておきます。

手順5 振り返りと感謝で次につなげる

活動が終わったら、次の3つを行います。

  • お礼と成果の報告:その日の活動で何ができたかを、数字や写真(写っている人の了承を得たもの)で伝える
  • 振り返り:やりにくかったこと、次にやってみたいことを聞く
  • 次の案内:次回の日程や、ほかの役割を案内する

団体の活動報告にボランティアの貢献を書くことも、参加した人にとっての報告になります。

謝礼を払うときは「労働者」に当たらないか確かめる

ボランティアへの交通費の支給や謝礼は、多くの団体が行っています。ただし、払い方によっては、ボランティアではなく労働者と判断されうる点に注意が必要です。

労働基準法は、次のように定めています。

条文内容
第9条「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者
第11条「賃金」とは、名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの

「謝礼」「ボランティア手当」という名前にしても、労働の対償として支払っていれば賃金に当たりえます。労働者に当たる場合は、労働基準法や最低賃金法(最低賃金法第2条は、労働基準法第9条の労働者を対象としています)が適用されます。

払い方を決めるときの目安として、次のように整理しておきます。

払い方考え方
交通費などを実際にかかった額だけ支給実費の弁償。支給の基準と記録を残す
活動1回ごとの定額の謝礼金額と、活動の内容・拘束の程度をあわせて確かめる
活動時間に応じた支払い労働の対償と見られやすい。雇用として扱うかを先に決める

第11条が「名称の如何を問わず」としているとおり、支払いの名目だけで扱いは決まりません。団体の指示どおりに時間と場所を決めて働いてもらう形になっていないかなど、活動の実態もあわせて確かめておきます。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に相談してください。なお、総務省統計局の社会生活基本調査では、ボランティア活動を「無償(交通費など実費程度の支払いは有償とはみなさない)で、家族以外の者又は団体に奉仕すること」と定義しています。

受け入れの準備チェックリスト

  • お願いする役割を1つずつ切り出し、内容・日時・場所・条件・窓口を決めた
  • 短時間・単発の役割と、定期・継続の役割の両方を用意した
  • 募集文に、申し込み方法と申し込み後の流れを書いた
  • 募集の情報を自団体のホームページに常設した
  • 申込フォームに個人情報の利用目的を明示した
  • 活動前の説明の項目(安全、保険、個人情報、費用、やめ方)を決めた
  • 交通費など実費の支給の基準と記録の方法を決めた
  • 謝礼を払う場合、労働の対償に当たらないかを確かめた
  • 活動後のお礼・振り返り・次の案内の担当を決めた

まとめ

ボランティアの行動者率が下がるなかで、人が集まる団体と集まらない団体の差は、受け入れの設計にあります。役割を切り出し、具体的な募集文を出し、説明と記録をして受け入れ、振り返りと感謝で次につなげる。謝礼や交通費を出す場合は、労働基準法の「労働者」「賃金」の定義に照らして払い方を決めておくと、後から慌てずに済みます。

参考資料