NPO法人は、代表権を有する理事に変更があったときは、変更が生じた日から2週間以内に法務局へ登記する義務があります。任期満了で同じ人が再び選ばれる「重任」の場合も、登記が必要です。この記事では、理事の任期の考え方、登記が必要になる場面、期限を落とさない管理の方法を整理します。
理事の任期
NPO法人の理事の任期は、特定非営利活動促進法上、2年以内で、定款で定める期間とするのが原則です。多くのNPO法人が2年としていますが、定款によって異なるため、自法人の定款で確認してください。
任期が満了すると、社員総会(または定款で定めた方法)で、改めて理事を選任します。このとき、前の理事と同じ人が選ばれることを「重任」、別の人が選ばれることを「改選」または「新任」と呼びます。いずれの場合も、代表権を有する理事に関わる変更であれば、登記が必要です。
登記事項になるのは「代表権を有する理事」だけ
NPO法人の理事のうち、法務局への登記事項になるのは、代表権を有する理事だけです。多くのNPO法人では、定款で「理事長(または会長・代表理事など、法人内部での呼び方はさまざまです)だけが代表権を持ち、他の理事は代表権を持たない」と定めています。この場合、登記されるのは理事長にあたる人だけで、他の理事は登記事項になりません。
平成24年のNPO法改正で、代表権を持たない理事はそもそも登記しない、という現在の形になりました。登記簿上の表記も「理事長」ではなく「理事」です。「理事長」という呼び方は、あくまで法人内部での呼称であり、法律上の名称ではありません。
自法人が「理事長だけに代表権がある」という定款になっているか、「理事全員に代表権がある」という定款になっているかによって、登記が必要な人数が変わります。まず、自法人の定款の規定を確認してください。理事全員に代表権があるという定款のままにしていると、理事が交代するたびに全員分の登記が必要になり、事務局の負担が大きくなります。負担を減らしたい場合は、代表権を理事長など一部の理事に限定する定款変更も検討の余地があります。
登記が必要になる場面と期限
代表権を有する理事について、次のような変更があったときは、変更が生じた日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局へ、変更登記を申請します。
| 変更の種類 | 内容 |
|---|---|
| 改選・新任 | 代表権を有する理事が、任期満了・辞任などにより別の人に変わった |
| 重任 | 任期満了により、同じ人が代表権を有する理事として再び選ばれた |
| 住所変更 | 代表権を有する理事の住所が変わった |
| 辞任・解任 | 代表権を有する理事が、任期の途中で退任した |
「人が変わっていないから登記は不要」という誤解は、重任の登記漏れの典型的な原因です。任期満了のたびに、登記が必要かどうかを必ず確認する運用にしてください。
期限を落とさない管理の方法
理事の任期は定款で決まっているため、満了日はあらかじめ分かります。次のような管理方法で、登記の期限を落とさないようにします。
- 理事の任期満了日を、定款の任期の規定にもとづいて一覧化する(代表権を有する理事とそれ以外を分けて管理する)
- 満了日の前に、次の総会(または選任の手続き)の日程を決めておく
- 総会で選任(または重任)が決議されたら、2週間以内に登記の準備を始める(必要書類の準備、法務局への申請)
- 登記が完了したら、所轄庁への役員変更の届出も別途行う(登記と所轄庁への届出は別の手続きです)
登記と所轄庁への届出を1つの手続きだと思い込み、どちらかを忘れてしまうことも起こりやすい間違いです。両方が必要であることを、管理の一覧に明記しておいてください。
役員の入れ替わりが多い法人では、事務局の担当者が変わるたびに、この管理の仕組みそのものが引き継がれず、次の満了のタイミングで漏れが発覚することがあります。任期満了日の一覧は、特定の担当者の記憶に頼らず、法人として引き継げる文書やスケジュール管理ツールに残しておくことが大切です。
実行時につまずきやすいところ
重任のときは登記が不要だと思い込む。 人が変わらない重任でも、代表権を有する理事であれば登記が必要です。
代表権を持たない理事の変更まで登記しようとする。 定款で代表権が理事長だけにある場合、他の理事の変更は登記事項になりません。登記が必要な範囲を、定款の規定にもとづいて確認してください。
登記と所轄庁への届出を、どちらか一方で済ませたと思い込む。 法務局への登記と、所轄庁への役員変更届出は別の手続きです。両方を行う必要があります。
登記を長期間忘れたまま放置する。 登記を怠った期間が長くなると、法務局や裁判所から指摘を受け、過料の対象になることがあります。気づいた時点で、速やかに登記の手続きを進めてください。数年単位で登記を放置していた法人が、法務局からの通知で気づき、まとめて登記を行った例も見られます。気づいたタイミングで、放置せずに手続きを進めることが重要です。
まとめ
- 理事の任期は、2年以内で定款が定める期間が原則
- 登記事項になるのは、代表権を有する理事だけ(多くの法人では理事長にあたる人のみ)
- 代表権を有する理事の改選・重任・住所変更・辞任は、変更が生じた日から2週間以内に法務局へ登記する
- 重任(同じ人の再任)でも登記は必要
- 法務局への登記と、所轄庁への役員変更届出は別の手続きで、両方が必要
役員変更にともなう所轄庁への届出の手順は「NPO法人の役員変更の届出|改選・辞任・住所変更と登記の手順」で解説しています。