NPO法人の定款変更は、すべてが所轄庁の認証を必要とするわけではありません。 法律で決められた7つの事項だけは、届出だけで効力が生じます。この区別を知らずに、届出で済む変更に何か月もかけて認証申請をしてしまう、あるいは認証が必要な変更を届出だけで済ませてしまう、といった間違いが起こりやすくなります。
この記事では、認証が必要な変更と届出だけで済む変更の区別、それぞれの効力発生の時期、手続きの流れを整理します。
認証と届出の基本的な違い
NPO法人の定款変更は、次のように区別されます。
| 区分 | 効力が生じるタイミング | 手続き |
|---|---|---|
| 認証が必要な変更 | 所轄庁の認証を受けた日 | 認証申請 → 2か月間の縦覧 → 認証 |
| 届出だけで済む変更 | 社員総会で決議した日 | 変更後、所轄庁へ届出 |
認証が必要な変更は、設立時の認証手続きと同様に、申請書類を2か月間、公衆の縦覧に供する期間があります。そのため、決議してから実際に効力が生じるまで、数か月単位の時間がかかることがあります。届出だけで済む変更は、総会での決議と同時に効力が生じるため、対応が早く済みます。
届出だけで済む7つの事項
特定非営利活動促進法第25条第3項は、次の7つの事項について、認証を不要とし、届出だけで済むとしています。
- 所轄庁の変更を伴わない事務所の所在地の変更
- 役員の定数に関する事項
- 資産に関する事項
- 会計に関する事項
- 事業年度
- 解散に関する事項(残余財産の帰属先を除く)
- 公告の方法に関する事項
この7項目以外の定款変更は、原則として認証が必要です。 たとえば、目的、名称、活動分野・事業に関する事項、社員の資格に関する事項、役員の氏名や選任方法(定数そのものではなく、選び方や任期などの規定)、会議(総会・理事会)に関する事項、残余財産の帰属先などは、認証を受けなければ変更の効力が生じません。
「役員の定数」と「役員に関する事項」を混同しやすい点に注意してください。役員の人数(定数)だけを変更する場合は届出で済みますが、役員の選任方法や任期など、定数以外の役員に関する規定を変更する場合は認証が必要です。理事の人数を「5人以上10人以内」から「7人以上12人以内」に変えるだけなら届出で済みますが、選任の方法(総会で選ぶのか、理事会で選ぶのかなど)を変える場合は認証の対象になります。
認証が必要な変更の手続きの流れ
- 社員総会で、定款変更の議案を決議する
- 所轄庁に、定款変更認証申請書と必要書類を提出する
- 申請書類が、2か月間、公衆の縦覧に供される
- 所轄庁が認証し、認証書が交付される(設立認証と同様、申請から一定期間内に処分される)
- 認証を受けた日から、変更後の定款が効力を持つ
事業年度をまたぐ変更や、他の届出(役員変更など)と時期が重なる変更を計画している場合は、認証までにかかる時間を踏まえて、余裕を持ったスケジュールを組んでください。総会の開催回数は法人によって年1回のところが多いため、認証が必要な変更を思いついたときにすぐ決議できるとは限りません。次の総会がいつかも踏まえて、逆算して準備を始めてください。
届出だけで済む変更の手続きの流れ
- 社員総会で、定款変更の議案を決議する(決議した日から効力が生じます)
- 決議後、所轄庁へ届出を行う
届出は、変更の効力発生の条件ではなく、所轄庁への報告という位置づけです。ただし、届出を怠ると、所轄庁からの報告徴収や指導の対象になることがあるため、決議後は速やかに届け出てください。届出の様式や必要書類は所轄庁ごとに用意されているため、変更内容に応じた様式を事前に確認しておくと、提出時のやり直しを防げます。
実行時につまずきやすいところ
認証が必要な変更を、届出だけで済ませてしまう。 変更が効力を持たないまま活動を続けてしまうと、後から変更前の定款にもとづく運営だったと判断されるおそれがあります。事前に、変更したい条文がどちらに当たるかを所轄庁に確認してください。
複数の変更を同時に決議し、区分を混同する。 1回の総会で、認証が必要な変更と届出だけで済む変更を両方決議することがあります。それぞれ別の手続きが必要になるため、決議した内容を項目ごとに整理してから手続きを進めてください。
認証にかかる時間を考えず、変更後の運営を前提に計画を進める。 認証には2か月の縦覧期間があるため、認証を前提とした事業計画や契約は、認証が完了してから実行するようにしてください。
まとめ
- NPO法人の定款変更は、認証が必要な変更と、届出だけで済む変更に分かれる
- 届出だけで済むのは、特定非営利活動促進法第25条第3項に列挙された7項目(所轄庁の変更を伴わない事務所所在地、役員の定数、資産、会計、事業年度、解散に関する事項の一部、公告の方法)
- それ以外の変更(目的、名称、事業内容、役員の選任方法、会議に関する事項など)は認証が必要
- 認証は所轄庁の認証を受けた日に、届出は総会で決議した日に効力が生じる
- 認証には2か月の縦覧期間があり、効力発生までに時間がかかる
役員に関する変更のうち、届出だけで済む役員変更の手続きは「NPO法人の役員変更の届出|改選・辞任・住所変更と登記の手順」で解説しています。
参考資料
- 特定非営利活動促進法第25条(内閣府NPOホームページ「定款」Q&A):https://www.npo-homepage.go.jp/qa/ninshouseido/ninshou-teikan