助成金は、寄付と違って使い道・対象経費・報告の方法があらかじめ決まっている資金です。申請の前に「自団体のどの事業に、いくら、何のために必要か」を固めてから探し始めることが、採択後に苦労しないための近道になります。この記事では、助成金の性格、主な探し先の違い、申請書を書くときに審査される観点、採択後に注意する点を整理します。制度の詳細や対象分野は年度ごとに変わるため、最後は必ず助成元が公表する最新の募集要項で確かめてください。
助成金と寄付・会費との違い
助成金を探す前に、資金の性格の違いを押さえておきます。
| 寄付 | 会費 | 助成金 | |
|---|---|---|---|
| 使い道 | 寄付者が指定しない限り自由 | 原則自由(会員活動に充てる) | 対象事業・対象経費が交付要綱で決まっている |
| もらえる時期 | 随時 | 定期 | 公募・審査を経て年度単位など |
| 事後の義務 | 原則なし(使途指定分は報告) | なし | 実績報告・証憑の保存・精算が必須。目的外に使うと返還を求められる |
寄付の集め方は「NPOの寄付の集め方」で整理しています。助成金は、採択された時点で「対象事業をその通りに実施し、報告する義務」が発生する点が、寄付や会費と大きく違います。実績報告・精算の具体的な進め方は「助成金の報告書と精算」で扱います。
助成金の探し先
探し先は性格によっていくつかの系統に分かれます。自団体の活動分野・規模に合うものから順に見ていきます。
国の施策情報をまとめて見る
内閣府NPOホームページの「NPO施策ポータル」(https://www.npo-homepage.go.jp/policy-portal/)は、連携協働・情報発信・資金・人材育成・設備などの施策を府省庁横断で検索できるページです。資金に関する施策の全体を見渡したいときに、まずここで該当する分野の施策があるかを確認します。
休眠預金等活用制度(JANPIA)
一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)は、休眠預金等活用法にもとづく国の指定活用団体です。JANPIA自身がNPOに直接助成するのではなく、公募で選ばれた資金分配団体が、それぞれのテーマで実行団体(現場で活動するNPOなど)を公募し、助成・出資する2段階の仕組みになっています。自団体が応募できるのは、JANPIAではなく各資金分配団体が出す公募です。JANPIAのウェブサイトで、分野の近い資金分配団体の公募情報を確認します。
民間の助成財団・共同募金
- 社会福祉法人中央共同募金会:赤い羽根共同募金を原資とした助成のほか、災害時にはボラサポ(災害ボランティア・NPO活動サポート募金)など、その時々のテーマに応じた助成事業を実施しています。
- 独立行政法人福祉医療機構(WAM)の社会福祉振興助成事業:社会福祉法人・医療法人・公益法人・NPO法人など、社会福祉の振興に資する活動を行う非営利団体を対象とした助成事業です。「地域連携活動支援事業」(都道府県内の連携・ネットワーク化)と「全国的・広域的ネットワーク活動支援事業」の2種類があります。
これらはいずれも毎年度、対象団体・対象事業・公募期間が募集要項で定められるため、前年度の情報をそのまま使わず、応募する年度の要項を確認してください。
申請書で審査される3つの観点
募集要項は助成元ごとに様式が違いますが、審査でよく見られる観点は共通しています。
| 観点 | 申請書に書くこと | 落とし穴 |
|---|---|---|
| 事業の必要性 | どんな課題に、誰を対象に、なぜ今取り組むのか。団体の実績とのつながり | 団体の理念の説明で終わり、対象事業に固有の必要性が書かれていない |
| 実施体制 | 誰が、どのようなスケジュールで実施するか。団体の過去の実績 | 体制表と実際の担当者が一致していない、スケジュールが募集要項の助成期間からはみ出している |
| 積算(経費の内訳) | 対象経費の区分ごとに、単価×数量の根拠を示した金額 | 対象外経費(団体の経常的な人件費や家賃など、助成元が対象外とする費目)を計上している |
積算は、募集要項が定める対象経費の区分に沿って組み立てることが重要です。自団体の会計科目をそのまま当てはめると、対象外の費目が混ざり込みやすくなります。対象経費かどうか迷う支出は、申請前に助成元の事務局に問い合わせて確認してください。
採択後に注意すること
- 複数の助成金・補助金を同じ事業に充てる場合は、重複(二重助成)に当たらないかを助成元に確認する。 多くの助成制度は、同一経費への他制度からの助成を禁止または調整の対象にしています。
- 概算払い(先払い)か精算払い(後払い)かを確認する。 精算払いの助成金は、実施にかかる費用をいったん団体の資金で立て替える必要があるため、資金繰りに与える影響を事前に見込んでおきます。
- 対象事業と実施期間が決まっている助成金は、使途が制約された寄付金等として、NPO法人会計基準の注記の対象になります。 未使用額に返還義務があるかを交付要綱で確かめ、決算をまたぐ場合は前受助成金等として処理します。詳しくは「NPO法人会計基準の基本」で解説しています。
申請前のチェックリスト
- 対象にしたい事業と、不足している金額・使い道を先に固めた
- 対象団体・対象事業・対象経費が自団体と事業に合っているかを募集要項で確かめた
- 応募する年度の募集要項(前年度のものではない)を見ている
- 積算を募集要項の対象経費の区分に沿って組み立てた
- 概算払いか精算払いかを確認し、精算払いの場合の立て替え資金を見込んだ
- 他の助成金・補助金との重複の可否を確認した
- 不明点を助成元の事務局に問い合わせた
まとめ
助成金探しは、使える助成金を先に見つけるのではなく、自団体の事業と不足額を先に固めてから、対象の近い助成元を探す順番が基本です。内閣府NPOホームページのNPO施策ポータルで国の施策を見渡し、分野に応じて休眠預金等活用制度(JANPIA経由の資金分配団体)、中央共同募金会、WAMの社会福祉振興助成事業などを確認します。申請書では、事業の必要性・実施体制・積算の3点を募集要項の言葉に合わせて書くことが、審査を通りやすくする基本です。採択後の実績報告と精算は「助成金の報告書と精算」で整理しています。
参考資料
- 内閣府NPOホームページ「NPO施策ポータル」: https://www.npo-homepage.go.jp/policy-portal/
- 一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA): https://www.janpia.or.jp/
- 社会福祉法人中央共同募金会: https://www.akaihane.or.jp/
- 独立行政法人福祉医療機構(WAM)社会福祉振興助成事業: https://www.wam.go.jp/hp/